ペットの売れ残りはどうなる?殺処分?動物実験?ペット産業の闇

ペット売れ残り問題。

動物好きな方なら、誰もが一度は気にしたことがあるんじゃないでしょうか。
皆さんはその問題の原因となっているペット産業の実態をご存知ですか?

まあさ
ペットが売れ残ってしまう原因は、ペットショップだけではなく、ペット産業全体にあるんです。

日本の家庭では約40%が犬・猫・その他小動物・観賞魚・爬虫類を含めたペット飼っています。その中でも犬・猫は特に人気があり、飼われているペットの30%弱で約1,856万頭になります。
ペットブームと共に拡大を続けてきたペット市場の規模は、約1兆4,000億円と言われています。

まあさ
ちょっと残念ですが、ペット産業もビジネスなので、良く売れる愛玩動物を売って利益を出さなくては成り立ちません。
その結果、流行しているペットを大量に販売するための流通経路ができていて、過剰に繁殖させてしまっているんです。

 

ペットショップの問題

良心的なペットショップでは、ペットの売れ残りがないように生後4ヶ月を過ぎると徐々に値下げをして、売るように努力をしています。
例えば、人気犬種のトイプードルは20万円から40万円が相場ですが、生後6ヶ月を過ぎると10万円以下に値下げされることもあります。

飼い主さん
家のそばのペットショップを通ると、少しづつ値下げされていたり、バーゲンセールをしてるときを見たことがあります!

それでも売れない場合は、ペットショップの看板犬として飼われたり、ペットショップの店員やその関係者、知人に格安で売られたり、なかには無料で引きとってもらう場合もあります。
ペットショップには動物好きな人が働いていますので、新しい家族が見つかるまでできるだけの努力をします。

飼い主さん
ペットショップもいろいろな方法で売れ残った子を最後まで面倒をみようとしているんですね……

ブリーダーと提携しているショップであれば、ブリーダーさんの元へ引き取ってもらう場合もあります。

まあさ
一般的なペットショップでは、売れ残ったペットでも、最後までしっかり面倒を見ようとするんですけど、一部にはひどいことをするペットショップもあるんです。

以前は売れ残った動物を保健所に持ち込んで殺処分にしてしまう、などということもありましたが、今では無くなりました。
ペットショップからの依頼は、保健所が拒否できるようになったからです。

まあさ
悲しいことですが、ペットショップの名前を出さないで、個人の名前で保健所に連れて行ってしまう、ということもまだあるんです。
飼い主さん
そんなペットショップがあるんですね……

実験動物として施設に送るとも言われていますが、これは都市伝説の域を出ない噂話です。
ただ、火の無いところに煙はたたないと言いますし、過去にはそういった事実もあったかもしれません。

まあさ
少なくとも、私がペットショップ店員になってからは、そういう噂話を聞いたことはないです。

仮にそういった処分方法が現在も横行していたとしても、それはごく一部の悪質なペットショップだけの話です。
ほとんどのペットショップは、ショップにいる子全員の命を大切に思って、その命を守るように努力し続けています。

もし悪質そうなペットショップを見つけても、そこでは絶対に買わないようにしましょう。
ペットショップは、そこで買う人がいる限り潰れることなく営業し続けることができてしまいます。

しっかりしたペットショップを見分る方法

  • 動物について詳しい店員さんがいる。
  • 動物を過度なストレスにさらさないために、深夜の営業はしていない。
  • ブリーダーや親犬についてちゃんと説明してくれ、それが分かるようになっている。
  • ケージなどの飼育環境が清潔に保たれている。
  • 飼い主になろうとする人に、無理に抱かせて衝動買いを促さない。
  • 生後56日以内の犬や猫が販売されていない

ちなみに、ペットショップでの生体の展示方法については、スペースの広さの指標や方法について制約・制限の基準は設けられていません。

そのため、飼い主さんの意識や知識のレベルが考慮されないまま、「可愛い」という衝動買いの気持ちを利用して販売してしまうペットショップがあるのも事実です。
ショップ店員さんが必要以上にセールストークをしてきても、落ち着いて「今の自分に飼えるのか」をしっかり考えるようにしましょう。

 

流通経路の問題

悪質な繁殖や飼育放棄消えていく命があるという事実は、現在でもまだ残っています。これは一つ、流通経路にある大きな問題が原因となっています。

20年以上前にはペットショップはペットをブリーダーさんから直接仕入れていました。しかし、市場の拡大と共にさまざまな流通経路ができました。

特に大手ペットショップは、

  • 自社で繁殖させる
  • ブリーダーさんとショップを橋渡しする卸売業者から仕入れる
  • ペットを競り落とすオークションから仕入れる

などの新たな流通経路を確立しました。

飼い主さん
ペットショップがそんなにいろいろな経路から、動物を仕入れてるなんて初めて知りました。

オークションではブリーダーさんがペットを出展して、それをショップが競り落とす仕組みになっています。

飼い主さん
それって、まるでモノのように販売してるみたいじゃないですか!
まるでテレビで見る魚市場のような感じがして嫌ですね……

現在ではペットショップに流通する50%はオークション市場から仕入れられています。
そのために飼育施設の状況や親の状態をしっかり確認することが難しくなっている、という問題が出てきました。

トレーサビリティが難しくなってしまっているのです。この問題が悪徳なパピーミルブリーダーを生み出す原因の一つになっています。

トレーサビリティ

食品の問題で聞いたことがある方も多いのではないでしょうか?
食品の生産者や製造過程などの商品の流通経路を消費者に分かるようにして、流通経路を明確にするシステムのことです。
家畜の飼育や植物の栽培・流通・加工経路をはっきりさせて、消費者の元に届くまでの過程を正確に記録・保存し、食中毒などの事件が発生したときに、早期の原因発見と対応に利用されます。

飼い主さん
確かにどんな経路でペットショップまで来るのかちゃんと分かった方がいいですね。
まあさ
パピーミルブリーダーについては、次で詳しく説明しますね。

 

ブリーダーさんの問題

まあさ
ブリーダー業を行っている犬舎は全国に約2万軒あり、シリアスブリーダー・バックヤードブリーダー・パピーミルブリーダーの3つに分類さているんです。
飼い主さん
いろいろなブリーダーさんがいるんですね。

シリアスブリーダーは、5%未満しか存在していなくて、種特有の遺伝から来る病気や飼育環境、健康管理をしっかり学び、種の保存と質の改善に多くの時間と労力をかけています。
繁殖も種などの流行に左右されずに、健康管理の問題を考えて計画的に行っています。

バックヤードブリーダーは素人ブリーダーとも呼ばれ、シリアスブリーダーのように深く勉強しているわけではなく、趣味の延長でブリーダーになった人たちです。
一般的に日本でブリーダーと言われるのは、このようなブリーダーさんがほとんどです。
動物好きな人がやっているので、飼育状況の管理、健康の管理については気を使っていて、無理な繁殖は行っていません。

そして最後はパピーミルブリーダーと呼ばれ、お金儲けだけを考えて売れる愛玩動物を大量に繁殖させている悪質なブリーダーです。
パピーミル(Puppy Mill)とは、直訳すると「子犬工場」という意味です。

繁殖だけのために親となる動物が、生きていける最低限の状況で飼われている生活を強いられています。
商品として動物を扱い、流行している愛玩動物を無計画に、大量の繁殖を行っているのです。

まあさ
お金儲けだけ考えた悪質ブリーダーの存在はペット業界にとっては、最もひどい問題です。
ペットショップで犬舎をしっかり教えてくれない場合や、親元を隠すようなペットショップからは絶対に買ってはいけませんね。

 

生体販売という問題

生体販売とは「命のある動物に価格をつけて販売する」ということです。生体販売は良くない、という意見が中心にありますが、全て否定してしまうと、牛や豚など食品の問題にも広がってしまうので、難しい問題になっています。

また、ペットの生体販売業を始めるときは、特別な資格は必要なく、取扱業の登録をするだけで始められてしまいます。
そのため、全ての繁殖犬・猫の飼育の状況などが健全かどうかを把握するのは非常に困難です。

 

ペット産業の今後の課題

現在、ペット産業では「動物愛護福祉」の意識も高まり、法の整備も進んできました。

2013年に「動物愛護法」の改正で飼い主や動物扱業者に対して、適正な飼育をすることや、飼育を途中で放棄してはいけないこと、みだりに繁殖させないことなどが規定されました。

まあさ
法整備は進んでいて違反した場合には、懲役や罰金が課せられます。
しかし、積極的には取り締られていないのが現状です。

また、生後49日を経過しなければ、親や兄弟から引き離してはいけないと規定もあります。
アメリカやイギリスなどのペット先進国では、商用販売する場合には生後56日が基準になっています。
この時期は親や兄弟と過ごす大切な期間で、その後の性格形成に大きく影響します。その意味では日本の取り組みは十分とは言えません。

近年では、ペット産業全体の問題を解決するために、環境省や公的機関での取り組みも進み始めました。

環境省では、「動物の愛護と適切な管理」人と動物の共生を目指して、など「動物愛護福祉」の問題に取り組んでいます。
漫画などを取り入れて誰にでも分かりやすいパンフレットを作成し、飼い主さんの意識向上に努めています。

まあさ
ペットを飼う前に、ぜひ一度読んで欲しいです。

また、兵庫県では県警の中にアニマルポリスを設けて、動物に対する虐待行為を市民が通報できるようになりました。このような動きは徐々に全国に広まってきています。

民間のボランティア団体も多くなり、「動物愛護福祉」についての取り組みも活発になってきました。

このような努力から、昔と比べて悪質な業者は減ってきていますが、十分に問題解決がされているわけではありません。
もっとペット産業全体の問題を世間に広めて、ブリーダーや流通経路、ペットショップはもちろんのこと、飼い主さんも含めたペットに関わる全員が命に関する問題に真摯に向き合って、残っている問題を解決していく必要があります。

 

まとめ

  • ペット産業に関する課題の解決は、広がっているが十分ではない。
  • 流通経路の改善を行って、悪質ブリーダーを無くす取り組みが大切。
  • 生体販売は大切な「命」を扱っているので、単なる商品として扱わない。
  • 飼い主さんもペット産業の問題を知り、安易な衝動買いをしない。

私も、ペットショップで働いているので、いまだに多くの問題が残っていることに対して、とても悲しい気持ちになります。
ペットをむやみに大量に繁殖したり、それを大量に売るための流通経路には疑問を持っています。

「可愛さ」を強調して、飼い主さんに衝動買いをさせる販売方法は「命」を軽んじているとしか思えません。
ペット産業全体の改善には、ペットにかかわる人たち全員の意識の向上が不可欠です。

ペットは単なる商品ではありません。「命」を持った生き物です。

皆さんも、買う側だからと無関心にならずに、是非、ペット産業のことをよく知ったうえで、その問題を解決するにはどうするのがいいのかを考えてみてください。

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ABOUTこの記事をかいた人

駆け出しペットショップ店員まあさ

駆け出しペットショップ店員のまあさです。小さい頃から動物が大好きで、物心ついたときには、自分のペットショップを開くことが夢でした。社会人になって2年目のいま、夢を叶えるために毎日奮闘しています。このサイトでは、私が日々の勉強で培った知識を、「ペットを飼いたいと思っている方」や「ペットとの生活をより良くしたいと思っている方」に向けて、お話させていただきます。